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ミーコワールド

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魔性の女から魔女へ・・・



   [魔性の女から魔女へ・・・]

私は若い頃「魔性の女」と言われていたらしい。

「らしい」というのは本人の私は全く知らなかったからだ。

昨年、昔の知人が訪ねて来て知ったばかりだ。

どうして「魔性の女」なのか?

だれもが「ハズキリオナ」という女優さんを思い浮かべるだろうが

私の場合は少し違うニュアンスのようだ。

同じニュアンスだったら嬉しかったのに~。

その人は「人を惑わすのがウマイ」と言った。

だからといって煽動したわけではない。

人が勝手に私のイメージを作って勝手に言っていたのだから

私には関係のない事なのだが相手にすればそうもいかないらしい。

私にとっては迷惑な話だが通らない。

ああだ、こうだ、と言いながら抵抗をしたら

「今は魔女だと誰もが言っている」とその男は言った。

「今迄魔性の女と言っていたくせに!」と言うとその男は

「魔性の女が歳を取ると魔女になる~」と言った。

話の具合から嫌がらせだと思った。

確かに人は自分の思い通りにならない人の悪口を言う傾向がある。

気に要らなければ自分の配偶者か親か兄弟か遠く離れた友達に

言うだけにしておけばいいのにどうしてだか近くにいる人に

感情に任せて言うのである。

聞いた人はおもしろ半分に又、自分の友達に言う。

ごていねいに「ここだけの話」と前置きしてから。

その結果「ここだけの話」が蔓延するのである。

そして言われている本人が知らない間に全く知らない話の

ヒロインになっているのである。

私の場合は私の知らない間に「恋多き女」と「魔性の女」になっていたのだ。

喜んではイケナイ。

そこまでは許せるとしても全く名も知らぬ男とのロマンスまで

まことしやかに囁かれていたのだからトサカが真っ赤になりそうであった。

それも一人や二人ではない。

しかしその頃の私はというと入院、退院を繰り返していて

子供も小さくて大変な時期だった。

人はそうして人を落としめていく。

私は嫌がらせだと気付いたので負けずに

「あなた達っていつもそうやって人の噂ばかりしていて、程度が低いのね」と

言ってやった。

その男は「次から次と男を利用して用がなくなったらポイッと捨てて、

何人も死んだのを知っているのか」と言った。

私は「知らないヨッ。 第一、知らない名前の人ばかりだもの」と言ってやった。

すると「お前は魔女だとみんなが言っている」と言ったのだ。

私はここで負けたら本当に「ふしだらな魔女にされる」と思ったので

「フン!私を思うように彼女にできなかった腹いせでそこまで言うか!」と

一喝してやった。 さすがの男もひるんだ。 私は見逃さなかった。

つとめて冷静に「ところで、魔女がもっと歳とったら何になるか知っている?」と

静かに尋ねてやった。

男は戸惑った。

私はこころの中で「勝った」と思った。

男はけげんな顔付きで「何になるの?」と尋ねた。

私はニヤリとして「モウジョになるのよ! モウジョに!」と

答えてやったら男は「モージョ?」と聞き返した。

私はすました顔で

「そう!モウジョ! 獰猛(ドウモウ)の猛に女と書いてモウジョ!」と

教えてやった。 

男は肩を落として「マケタ!」と言って帰って行った。

私は今後の事があるので「二度と来るな!」と男の背に投げつけた。

これで私は本物の猛女になった。

「名もなく貧しく逞しく」へ


 


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